【症例】重度歯周病のため抜歯し、義歯を製作
治療内容
期間
治療回数
費用
金属の義歯220,000円〜330,000円(税込)×2個(金属の使用量によって金額は変わります)
治療前の状態・主訴
患者様は40代の女性の方です。「前歯がグラグラして、噛めなくなった」とのことで来院されました。
歯周病の進行により、歯を支えている骨が溶け、歯が大きく揺れていました。特に前歯は触ればすぐに抜け落ちそうなほど不安定でした。
治療詳細
まずは、すぐにも抜けそうな前歯を抜き、仮歯を付け、見た目を整えました。
また、全体に歯石が付着しており、歯茎が腫れあがっていました。歯石を除去し、歯茎の腫れをひかせるとともに、どの歯の抜歯が必要か検査をしました。
検査の結果、抜いた前歯も含めて15本の抜歯が必要と判断しました。
歯を抜いた直後、そのままでは食事や会話ができませんので、事前に義歯を作成しておき、歯を抜いた当日に義歯を装着しました。
これを即時義歯といいます。歯がないままの状態は1日もないように対処するものです。
歯を抜いた後の歯茎は治癒途中ですので、日々形が変わります。そのため何度も義歯の修理を重ねながら歯茎の治りを待ちました。
下の写真が即時義歯の写真になります。
即時義歯は一時的に使用するものになります。即時義歯を使用していただきつつ、義歯の作成に進みました。
今回の義歯設計だと、保険内の物では厚いプラスチックが上顎を覆う形態になります。厚いプラスチックが邪魔をして、食べ物の温度が分かりづらくなってしまったり、舌の動きが悪くなり、喋りづらくなってしまったりします。
そこで、即時義歯は保険内で作成しましたが、患者様と相談のうえ、義歯は上顎の部分を金属に変えた保険外のものを使用しました。それによって、食事の温度を感じやすくなり、美味しく食事を召し上がっていただけます。加えて、厚みが薄くなることによって違和感が少なくなり、喋りづらさも軽減されます。
また、審美性も確保するために、前歯にかかる金具の部分を歯茎の色に近いピンク色のプラスチックに変更しました。
治療後の様子
保険内の義歯に比べてかなり薄く作成することができたため、違和感が少なく、患者様にも喜んでいただけました。
主な副作用・リスク
・一部自由診療での診療になります。
・歯の状態によっては治療が困難な場合があります。
・予後を完全に保証するものではありません。
・治療後は、噛むと痛いなどの症状が出ることがあります。
義歯も場合によっては有効な治療法です
今回のケースでは、骨が薄かったことに加え、患者様が手術を希望されなかったため、インプラントではなく、義歯による治療を行いました。
このように、義歯は何かしらの理由でインプラント治療ができない方にも有効な治療です。
ただ、多少の違いはありますが、上顎を大きく覆ったり、舌の下に義歯の一部が通ったりするため、違和感はかなり大きいです。残っている歯に固定源を求めるため、歯にすごく負担がかかり、のちに抜歯する必要が出てくることも多いです。
今回の患者様は歯医者に通う習慣がなく、気付かないうちに歯周病が進行していて、抜歯が必要な歯がいくつもありました。
もう少し早く治療を開始できていれば、部分的なインプラントや、範囲が小さい部分義歯で治療できたかもしれません。逆にもっと遅ければ、入れ歯を支える歯も失って、総義歯になっていた可能性もあります。
もしインプラントを治療に組み込むことができれば、インプラントの上に義歯をセットするなどして、安定した噛み合わせを確保することも可能になるなど、治療の選択肢の幅も広がります。虫歯や歯周病は早期発見と早期治療が大切になりますので、何も症状がないうちに検診にいらっしゃることをおすすめします。
当院では、患者様に治療の必要性や選択肢などに関して丁寧な説明を行い、理解していただき、納得していただいた上で治療を行っています。ぜひ、お気軽にご相談ください。
せたがや歯科室 歯科医師 岩田
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