「知覚過敏」のメカニズムと予防法・治療法について解説

「知覚過敏」のメカニズムと予防法・治療法について解説

2023年2月24日
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突然ですが、みなさんはテレビで「知覚過敏」に関するCMは見たことがありますか?テレビをよく見る方だと、毎日見かけるという人もいるかもしれません。

「冷たいもので歯がしみる」というのは歯科外来において大変多い訴えで、知覚過敏は患者さんの興味がとても高い症状の一つでもあります。そこで今回は「知覚過敏」について詳しくお話ししたいと思います。

 

知覚過敏とは

「知覚過敏」というのは略称で、正式には「象牙質知覚過敏症」と呼ばれています。

冷たいものや歯ブラシの毛先などの刺激で歯がしみたり、痛みを感じたりすることがあります。これが知覚過敏です。甘いものや酸っぱいものが刺激となり、症状を感じることもあります。

「キーン」という鋭い感覚が生じることもあり、むし歯と勘違いされる方もいらっしゃいますが、細菌感染に由来するものではありませんので虫歯ではありません。

 

知覚過敏のメカニズム

歯の表面は、人体の中でも最も硬い組織の「エナメル質」で覆われています。健常な状態であれば象牙質はエナメル質と歯肉におおわれていて、冷たさなどの刺激から守られています。

しかしさまざまな原因によって、エナメル質がすり減ってきたり(摩耗)、また歯茎が下がってしまうと、エナメル質の内部にある「象牙質」が露出してしまうことがあります。

象牙質には歯髄(神経)につながる無数の穴(象牙細管:ぞうげさいかん)が空いています。象牙質が露出すると、象牙質の穴を通して受けた刺激が神経に伝わり痛みを感じてしまいます。これが知覚過敏のメカニズムです。この痛みは一過性なので、刺激がなくなると痛みもなくなります。

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知覚過敏の原因

エナメル質の摩耗や歯茎が下がる原因としては以下が挙げられます。

強い歯磨き

歯を磨く力が強すぎる、使っている歯ブラシの毛が固い場合など、ブラッシング圧が強いとエナメル質がすり減りやすくなります。さらに歯ぐきが下がって、象牙質が露出してしみやすくなります。

歯ブラシを動かすストロークが大きいなど、不適切な磨き方も原因となります。

就寝中の歯ぎしりやくいしばり

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エナメル質が摩耗した歯

無意識による就寝中の歯ぎしりやくいしばりは、実は驚くほど歯にダメージを与えています。通常起きているときに比べて何十倍もの非常に強い力でこすり合わせるため、エナメル質が磨耗したり、ヒビが入って象牙質が露出してしまう原因となります。

歯周病

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歯ぐきが下がってしまった歯

歯周病は口腔内細菌の感染によって引き起こされる炎症疾患です。主な原因の一つとされる歯垢(しこう)が歯茎の炎症を引き起こします。歯周病が進行すると歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けてなくなってしまい、歯ぐきは痩せ下がり、しみるようになります

酸蝕症

習慣的に酸性の飲食物を摂取すると、酸に触れた硬いエナメル質の表面が一時的に軟らかくなり、エナメル質の侵食の原因になります。

 

知覚過敏の予防・治療方法

次に、知覚過敏の予防法と治療方法について解説します。

知覚過敏防止用の歯磨き粉を使う

軽度の知覚過敏に有効です。「硝酸カリウム」「乳酸アルミニウム」と呼ばれる薬用成分を含んでいる歯磨き粉が知覚過敏用の歯磨き粉として一般的です。

治療薬、コーティング剤の塗布

象牙質の表面にしみ止めのお薬やコーティング剤を塗布することによって、象牙質を刺激から守る治療法です。

塗布した薬は歯磨きや食事などで数ヶ月ほどで剥がれてしまいますが、薬を塗布した状態で歯の再石灰化が進めば、コーティング剤が剥がれた後でも歯がしみなくなります。

詰め物による保護

歯の根元が大きく削れて知覚過敏を起こしている場合は、削れた部分を詰め物(歯科用プラスチック:コンポジットレジン)で覆うことで、症状を軽減させることができます。歯が削れたままの状態でいると、知覚過敏が悪化しやすくなるだけでなく、汚れが溜まりやすくなり虫歯・歯周病のリスクも高くなってしまいます。

マウスピースの装着

マウスピースは就寝中の歯ぎしりによる摩耗を防ぐことができます。しかし、就寝中の歯ぎしり自体を治すわけではありません。

歯ぎしりの癖を治すのはなかなか難しく、そのため歯のダメージを防ぐためにマウスピースをはめる治療が必要となります

詳しい治療法はこちらをご覧ください。

【症例】歯ぎしり食いしばりにより歯がしみる症状に対する処置

 

知覚過敏の症状は誰にでも起こりうる歯のトラブルです。歯がしみる場合、知覚過敏が原因となっているケースも多いですが、虫歯が原因になっていることも多くあります。

虫歯なのか知覚過敏かをご自身で判断するのはなかなか難しいです。もし「知覚過敏かな?」と思った方はお気軽にせたがや歯科室の歯科医師、歯科衛生士までご相談ください。

 

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