【症例】骨を回復させる歯周組織再生療法
治療内容
期間
治療回数
費用
治療前の状態・主訴
患者様(50代女性)は歯茎から膿が出てきて時々痛みがあることが主訴で来院されました。
患者様は本格的な歯周病の治療は経験したことがなく、他の歯科医院では歯面のクリーニングのみされたことがあるとのことでした。
歯周検査やエックス線で診断した結果、全体的に中等度〜重度の歯周病でした。
このままの状態だと近い将来抜歯になってしまう歯が出てきてしまうことをご説明しました。
患者様はなるべく長く歯をもたせたいと強く希望されていたので、全体的な歯周治療と1番状態の悪くなっている主訴の歯(右下6番)を改善するためには外科処置が必要であることを提案させていただきました。
外科処置としては失われた骨を治す、歯周組織再生療法を行うことにしました。
<歯周組織再生療法とは>
歯周組織再生療法とは、歯周病によって失われた、歯を支えている骨に対して、エムドゲインという細胞を活性化させる薬を塗ることで、新しく骨を作ることができる素晴らしい治療です。すべての患者様にできるわけではなく、お身体や口腔環境の状態によってできない場合もあります。
治療詳細
再生療法の前
全体的な歯周病の治療を行い、お口の状態を改善する必要があります。
まず歯周基本治療を約1ヶ月間行いました。
歯周基本治療には歯ブラシ指導、スケーリング、ルートプレーニングがあります。
*歯ブラシ指導とは患者様の日頃の歯磨きがしっかりできているか確認させていただき、必要に応じて指導します。
*スケーリングとは歯の周りに着いた歯石や汚れをとる治療です。
*ルートプレーニングは歯茎の中の悪い汚れをとる治療です。
しっかりと歯周病の初期治療や基本的な治療をした2週間後に歯周病の再検査を行い、再生療法ができるかできないかの最終判断をします。
今回、患者様は治療を頑張っていただけたので、今までの治療の効果によって口腔環境も改善され予定通りに再生療法を行うことになりました。
手術当日
手術は90分で行いました。
痛くないよう浸潤麻酔を2本使用しました。
歯茎を切開し失われた骨が確認できる状態にし、汚れた組織をきれいに清掃しました。
きれいになった骨と歯の根にエムドゲインを塗りその上に人工の骨を移植しました。
手術後
手術1週間後に消毒のため来院していただき。2週間後に糸抜きをしました。この時期から柔らかい歯ブラシで磨けるようになります。
1ヶ月ほど手術部位はなるべく安静にしていただきました。骨の再生は半年以上時間がかかるので、歯周病が再発しないよう注意深く経過をみる必要があります。
治療後の様子
6ヶ月後にメンテナンスで検査をしたところ経過良好でした。
今後4ヶ月毎のメンテナンスで再発しないよう患者様と一緒に頑張っています。
主な副作用・リスク
・歯周組織再生治療は自由診療で、費用は歯の状態で変わります
・骨の再生を待つため治療期間が長くなります
・外科手術なので患者様の身体にある程度の負担がかかります
・手術後に出血、痛み伴います
・必ずしも歯周病が治るわけではありません
・再発防止のため治療後のメンテナンスが必要です
<ご自身の歯を守るために、歯周病は早期の治療が大切です>
歯周病は歯を失う1番の原因です。数ある原因の中で約4割を占めています。
また歯周病は遺伝もありますが生活習慣病にもカウントされており、糖尿病、高血圧と同じく注目されてます。
歯周病の怖いところは進行していても痛みなどの症状がなく、気付いた頃には歯を抜かないといけないことがほとんどです。
歯を抜いてしまうとその部分を補う入れ歯やブリッジ、インプラントなど補綴治療を行わないといけなくなり、お手入れが大変になったり異物感があったりと生活の質が下がってしまいます。
今回の症例では歯周病が進行していたものの、早期に発見でき歯を抜かずに治療を行うことができました。
ご自分の歯で変わらず生活を行うことができ患者様も大変満足されています。
私自身も患者様の悩みを少しでも解決できる治療を行うことができたことをよかったと思う限りです。
せたがや歯科室 歯科医師 山本
こちらもご参照ください