【症例】右上奥歯抜歯後の骨造成とインプラント
治療内容
期間
治療回数
費用
治療前の状態・主訴
症例の患者様は、右上の奥歯が時々うずくとのことで来院されました。
レントゲン撮影をしたところ、右上の奥歯の根の先に炎症がありました。
治療詳細
過去に他院で一度歯の根っこの治療をされていましたが、根の先の炎症の再発だったため被せ物を除去して再度歯の根の治療を行いました。
CTで見るとかなり炎症の範囲が大きいため、治療をしても治らなければ抜歯をする事は予め患者様にお話していました。
何回か治療を行い根の中は綺麗にできましたが、炎症が治らなかったため抜歯を行いました。抜歯したところ、やはり普通の炎症ではなく嚢胞化していました。
抜歯後の治癒は良好で、4ヶ月程待ったところ骨の治癒も完了していましたので、治療方針の話をしたところインプラントで治療することになりました。
上顎洞までの骨の量が少し足りなかったため、ソケットリフト(骨を作るための治療)を行って同時にインプラントの埋入も行いました。
その後、3〜4ヶ月程待ち、オステオインテグレーション(インプラントと骨が結合する事)が得られたため被せ物を装着しました。
治療後の様子
特に問題なく快適に過ごされています。
患者様は歯ぎしりや食いしばりがあるため、マウスピースを使用していただいています。
主な副作用・リスク
・抜歯後の骨の量によってはインプラントの適応外になる事もあります。元々の骨が少な過ぎれば骨を作る事も難しい場合があります。
・インプラント埋入後は出血や腫れる事があります。
・上顎洞に骨を作っているため、術後に鼻血が出る事があります。
・インプラントのオペが問題なくても、その後インプラント体が骨に結合しない場合があります(約5%程度)
・飲まれている薬によってはオペができない場合があります。
・タバコを吸ってる方はリスクになることがあります。
<抜歯しなければならないケースと、骨が足りない場合のインプラント治療について>
根の先に炎症がある場合、治るのであれば根の治療をしてご自身の歯を使って差し歯にする方が良いとは思います。しかし、元の炎症が大きい場合は根の治療をしても炎症が治らず、一見治ったように見えても再発してしまう事も多いです。その場合炎症が波及して、本来問題なかった隣の歯がダメになってしまう可能性があります。そのため炎症が落ち着かない場合は症状がなくても抜歯を行わなくてはいけない事もあります。
今回のケースでインプラント治療を行うにあたっては、抜歯後に骨の厚みが2mm程足りない程度であったため、ソケットリフトという方法で骨を造成できました。
骨の厚みがもっと足りない場合は別の方法(サイナスリフト)の選択肢もあり、インプラントを打つための骨量が足りない場合、ある程度のケースまでは対応することができます。
抜歯をした後の治療に関しては入れ歯、ブリッジ、インプラント等の選択肢があり、どの治療もメリットデメリットがあります。しかし長い目で見た時にはインプラントが最もよいと思われる事はとても多いです。
しかし、最も良いからと言っても万能というわけではありません。もちろんCT撮影したりリスクを減らす努力は最大限していますが、手術を行う事でのリスク(出血、神経損傷等)は0ではありません。そして、ご自身でも歯磨きがしっかりできていなかったり、歯ぎしり食いしばりの対策をしていなければ歯周病になる事もあります。
これはインプラントに限らず全ての歯科治療に言える事ですが、治療したらそれで終わりではなく、その後しっかりメンテナンスをしていく事がとても重要です。
歯科の治療のゴールは、治療してしっかり噛めることはもちろんですが、年齢を重ねても、更に言えば最期の時まで不自由なく食事ができて、人生を楽しむ事にあると考えます。
そのために治療の方法は様々な選択肢があるので、ご自身の歯の事で気になる事があればなるべく早く歯科医院に行って相談していただければと思います。
歯科医師 大久保
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