こんにちは!歯科衛生士の小川です。
皆さんは歯磨きをする時、歯ブラシ以外にデンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシなどの補助清掃用具を使用していますか?
歯ブラシでうまく磨くことができていても、歯と歯の間の汚れは60%しか落ちないと言われています。歯ブラシでは歯の表面は綺麗になりますが、歯と歯の間、ブリッジの隙間などどうしても磨き残してしまうところがあります。
そのような歯ブラシでは届かない所にプラスαで使うものが補助清掃用具です。歯ブラシと歯間ブラシを併用することで、プラーク除去率が1.5倍に向上したと言う報告もあります。
今回は主要な補助清掃用具である「デンタルフロス」「歯間ブラシ」「ワンタフトブラシ」についてお話しします。
デンタルフロス
デンタルフロスとは細い糸が何重にもなっている糸状の補助清掃用具のことで、歯と歯の間の汚れを除去するために使用します。欧米ではfloss or die(フロスか死か)と言われるほど使用頻度が高い清掃用具です。特に歯と歯の間が狭く、食べカスなどが詰まりやすい方におすすめです。
デンタルフロスの効果
①歯と歯の間のプラーク除去効果の向上
②虫歯や歯周病の予防
③口臭の予防や改善
④虫歯や修復物の適合不良を早期発見
デンタルフロスの種類
①ホルダータイプ
ホルダータイプはホルダーに糸が取り付けてあるため、誰でも簡単に使用することができます。デンタルフロス初心者の方には使いやすくおすすめです。
◎F字型
前歯への使用に適しています。持ちやすく、細かく手を動かすのが苦手な子どもまで幅広く使えます。
◎Y字型
奥歯への使用に適しています。前歯と奥歯で使い分けが面倒という場合には、前歯も奥歯も使用できるY字型を選ぶとよいでしょう。
②ロールタイプ
ロールタイプは必要な長さに糸を切り、指に糸を巻きつけて使います。初めは少し扱いにくいですが、慣れてしまえば簡単で経済的です。 ワックス、ノンワックス、エクスバンドの3種類の糸があります。
◎ワックスタイプ
繊維がワックスでコーティングされているので歯と歯の間に挿入しやすく、フロスが切れたりバラバラになりにくいのが特徴です。はじめて使用する方や修復物が多い方におすすめです。
◎ノンワックスタイプ
繊維がワックスで固められていないので繊維が広がり歯の表面にフィットします。ワックスタイプよりプラーク除去効果が高いのが特徴です。ワックスタイプに比べ引っかかりやすく、引っかかると切れたりばらけたりしやすいです。
◎エクスバンドタイプ
唾液や摩擦でスポンジのように糸が膨らむタイプで、最もプラーク除去効果が高くなっています。しかし糸が太いため、歯間が狭いところには入らない場合があります。
子どもにもフロスはするべきなの?
小さいお子さんの場合、保護者の方が仕上げ磨きはしていると思いますが、デンタルフロスを使われている方はいらっしゃいますか?ただでさえ大人の方でも使われている割合が少ないデンタルフロスは、子どもに対しての使用率はさらに下がります。
デンタルフロスの使用率は大人で39.2%に対し、1歳から4歳までの幼児だとたったの15.4%に。虫歯は少なくなってきているとはいえ、日本人はまだまだ歯の健康への意識が低く、デンタルフロスや歯間ブラシの使用率は欧米に比べてもかなり低いと言えます。
特に子どもにもフロスをすることは虫歯を防ぐ上でとても重要です。子どもの歯と歯の間のむし歯は、乳歯が生えそろってきて、歯と歯の間が狭くなってくる2歳ごろから増え始めます。乳歯のむし歯は痛みを感じにくく、発見しづらいもの。毎日のフロスケアで歯垢を取りのぞき、むし歯の発生を防ぎましょう。
歯間ブラシ
歯間ブラシもデンタルフロスと同じく、歯と歯の間のプラークをとる補助清掃用具です。ブリッジの下や歯と歯の間の広いところ、矯正装置の周りなどに使用します。デンタルフロスよりもすき間が比較的大きいところに用いられることが多いです。歯間ブラシの交換時期は、使用したら洗って1週間使えるものから使い捨てのものそれぞれあるので説明をよく確認しましょう。
歯間ブラシの効果
①歯と歯の間のプラーク除去効果の向上
②虫歯や歯周病の予防
③口臭の予防や改善
歯間ブラシの種類
①素材による分類
ゴムタイプと針金タイプがあります。
◎ゴムタイプ
柔らかく歯茎を傷つけにくいため、針金タイプと比べるとプラーク除去率は低下します。歯間ブラシを使いはじめたばかりの人におすすめで推奨されます。
◎針金タイプ
針金にブラシがついているもので、汚れを落としやすい反面、間違った使い方をすると歯茎を傷つけることがあります。
②持ち手のタイプによる分類
I字型、L字型、カーブ型があります。
◎I字型
持ち手部分が真っ直ぐになっており、前歯への使用に適しています。奥歯に対しては先端を曲げて使用しますが、歯列に沿いにくいため操作性に優れず慣れが必要です。
◎L字型
ブラシの根元がL字型をしているものです。前歯だけではなく、奥歯の清掃もしやすいのが特徴です。
◎カーブ型
持ち手部分が長めでカーブしているため、歯列に沿って挿入することができます。奥歯の清掃に適しています。
③ブラシのサイズによる分類
ブラシのサイズはおおよそ「SSS, SS, S, M, L, LL」の6種類があります。
「SSS, SS」サイズは歯間の隙間が狭い部分や矯正装置、ワイヤーの間の清掃に用いられます。
「S, M」サイズは軽く歯茎が下がっていて歯と歯の間が少々広いところ、ブリッジの周辺の清掃に用いられます。
「L, LL」サイズは重度に歯茎が下がっていて歯と歯の間が広いところ、歯の根っこが見えている部位などの広い隙間の清掃に用いられます。
適したサイズは一人ひとりの歯の状態によって異なるので、自分の歯にぴったりのサイズを選択することが大切です。もしご自身でわからなければせたがや歯科室までご相談ください。分からなければ当院にてご相談ください。
ワンタフトブラシ
ワンタフトブラシは歯と歯の間を効果的に磨くことができる、毛先が密集した歯ブラシ型の補助清掃用具です。磨き残しを防ぎ、ブラッシング効果を高めてくれます。
虫歯や、歯周病などの歯科疾患が一番少ないスウェーデンの人々が毎日のオーラルケアに取り入れています。
ワンタフトブラシが効果的な磨く部位
①歯並びの悪いところ
②矯正装置の周り
③ブリッジの周り
④孤立している歯の周り
⑤上下前歯の裏側
⑥一番奥の歯の後ろ側
⑦下の奥歯の内側の歯と歯茎の境目
⑧上の奥歯の外側
etc.
普通の歯ブラシより毛が密集しているため、磨くときは優しく細かく動かすようにしましょう。間違った使用を続けると、歯茎が下がってしまう原因にもなってしまいます。またワンタフトブラシは1ヶ月に1回交換するようにしましょう。
補助清掃用具でブラッシング効果を高めましょう
補助清掃用具はデンタルケアを高める上で欠かせないものですが、使いはじめた最初は操作が難しく面倒になってしまうかもしれません。ちょっとしたコツが必要かもしれませんが、日々使っていくことで慣れてくると簡単かつ効率的にプラークをとることができます。
歯間ブラシ、デンタルフロス、ワンタフトブラシは補助清掃用具と言われていますが、歯ブラシと同じくらいとても大切な道具ということを日々患者さんの口腔内を拝見して感じています。
実際に私も寝る前は歯ブラシで磨いた後に、デンタルフロスをして、ワンタフトブラシで磨き残しているところを磨くようにしています。習慣化されれば、デンタルフロスとワンタフトブラシを使わない日は違和感を感じてしまうほど、自然とするようになっていきます。
皆さんにも毎日最低1回は、お口の中のさらなる健康のために補助清掃用具を使用いただくことおすすめします。せたがや歯科室では、歯科衛生士によるブラッシング指導や患者さん一人一人にあった補助用具、歯ブラシの選択についてもアドバイスさせていただきます。
もし日々のデンタルケアでお悩みがある方は、どうぞお気軽にご相談ください。スタッフ一同、お待ちしております。
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