こんにちは。せたがや歯科室歯科衛生士の品川です。
コロナ禍での長いマスク生活のなかで、自分の口臭が気になるという患者様の来院が増えました。
そこで今回は口臭の原因について詳しくお話しします。
体が正常な状態で発生する臭いのことを生理的口臭といいます。一方病気やその他の原因で(多くの場合、口の中に原因があります)他人に不快な気持ちを与える臭いを病的口臭といい、それを口臭と称します。
また口臭は他人が臭いを感じるかが重要であり、自分以外の人の感じ方で口臭かそうでないかが決まります。
では、口臭の原因について見てみましょう。
口臭の主な4つの原因とは?
口臭の原因として次の4つが考えられます。
1.口腔(口の中)が原因
口腔で一番考えられるのは歯周病です。過去の研究で歯周病と口臭の間には高い相関性があることが知られています。
歯周病の特徴は歯と歯ぐきの間に歯周ポケットができることであり、このポケットが口の中の細菌の格好の住処を提供します。
細菌のなかでも嫌気性菌と呼ばれる菌は代謝の過程で硫化水素やメチルメルカプタンを産生します。これが口臭のもとになるのです。
また唾液が少ない(口腔乾燥症)のも口臭の原因となります。
2.全身の病気が原因
全身の病気が口臭につながることがあります。以下が主な口臭の原因となりうる病気です。
・耳鼻咽喉領域の疾患…副鼻腔炎、咽頭の炎症、悪性腫瘍など
・全身疾患…糖尿病(アセトン臭)、肝疾患(アミン臭)、腎疾患(アンモニア臭)
これらの病気を持っている方は、治療することで口臭が改善される可能性があります。
3.食事による口臭
ニンニク、ニラ、ネギなどの臭いの強いものを食べたり、アルコールや喫煙は口臭の原因となります。
臭いの元となる成分が体内に取り込まれると、胃の中で消化され血液を介して全身に循環します。最終的に肺を経由して吐き出されることで、口臭が発生するのです。そのため、お口をきれいにしても臭うことがあります。
4.生理的口臭が原因
生理的口臭は朝の起床時や空腹時に臭うことがあります。女性の場合、生理時やその前後のホルモンバランスの不調により口臭を感じることもあります。
上記3.4番は、通常時間の経過とともに減少していきます。生理的口臭には日内変動がありますが、ゼロになるということはありません。私たち人間は生きている限り、毎日食事をし、口の中ではさまざまな代謝が行われているので、無臭でいることはありえないのです。
生理的口臭より問題なのは、病気によっておこる口臭です。病的口臭は、口の中の原因が口臭の90%を占めています。口臭が気になったら、歯科医院で相談してみると良いでしょう。
特に口臭の大きな原因となるのは、歯周病を起こす細菌によるものです。
口臭が気になる人は、まず自分が歯周病かどうか、セルフチェックをしてみましょう。
・歯ぐきからよく出血する
・歯ぐきがよく腫れる
・口の中がネバネバする
・グラグラした歯がある
・歯と歯の間に食べ物がよくはさまる
・歯肉を押すと血や膿が出る
・歯磨き後に毛先に血が付いたり、すすいだ水に血が混じることがある
以上の項目が当てはまる場合は歯周病の可能性があります。
また舌苔の付着も原因の一つとして挙げられます。舌の表面が白色、または茶褐色になっていないか確認してみてください。舌苔が厚い人は、1週間に一度は専用の舌クリーナーでお手入れするとさらに効果的です。
口臭を悪化させる「口腔乾燥症」について
通常、健康な人で一日1〜1.5リットルの唾液が分泌されていますが、その唾液が不足するドライマウスが最近急増しています。
唾液には以下のような役割があります。消化作用 唾液の酵素でデンプンをマルトースに分解する。
溶解作用:味物質を溶解して味覚を促進させる。
洗浄作用:食べかすを洗い流す。
円滑作用:発音や会話をスムーズにする。
抗菌作用:抗菌作用を持つ物質で病原微生物に抵抗する。
緩衝作用:phを一定に保ち細菌の繁殖を抑える。
保護作用:歯の表面に皮膜を作り、虫歯を防ぐ。
というように唾液は多くの重要な役割を果たしているのです。
唾液が不足すると、抗菌作用、緩衝作用、保護作用が失われてしまいます。
よって常に口の中が乾燥していると虫歯・歯周病になりやすかったり、舌の痛み、口臭の原因、物がうまく飲み込めない、口が乾いて話しにくい等、様々な症状を引き起こす原因になります。
では、ドライマウスの原因は何でしょうか。
唾液の分泌は加齢とともに減少すると言われますが、薬の副作用・糖尿病や腎不全などの全身疾患・ストレス・喫煙・シェーグレン症候群など複合的なことが考えられます。
薬の副作用・全身疾患、シェーグレン症候群と唾液の分泌が減少する原因についてはまだわからないことも多いようです。
またストレスをかけると、リラックス時に比べて唾液の分泌が約3割減少するといわれています。緊張するとリラックス時とは違うストレス物質が神経から放出され、唾液を作る細胞にくっつきます。
このストレス物質はリラックスした時にでる物質に比べ、唾液を作る細胞の中に水分を取り込む働きが小さいため、作られる唾液は少なくネバネバしたものになるのです。
一時的なストレスなら問題ありませんが、ストレスが長期にわたって続くと、自律神経が失調し、唾液の分泌が抑えられてしまうのです。
また、食生活でも気をつけなければいけないことがあります。柔らかいものばかり食べていると、よく噛むことをしなくなるので、口の周りの筋力が衰え、唾液の分泌が減少する原因になります。
口腔乾燥症を改善するには、原因薬剤がある場合は、減量と中止が理想ですが、疾患などによっては減量できない場合もあります。その場合に漢方薬による治療が効果的とされています。
また、音波歯ブラシなどの適切な口腔への刺激も唾液分泌を改善することが知られています。
口臭が気になる・歯周病が気になる方は、ぜひ一度せたがや歯科室までご相談ください。スタッフ一同、心よりお待ちしております。
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